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×××

 
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 ガコン――

 見上げた先には澄み渡った空―などどこにもなく、幾重にも重なった鉄錆色の巨大な歯車が薄く曇った空を覆い隠している。

 ガコン――

 僕は空を見上げるのが嫌いだ。なぜなら僕らが見下ろされている存在だと思い知るから。
 【上層住民(かれら)】が【最下層住民(ぼくら)】を見下ろすことはあっても、【ぼくら】が【かれら】を見下ろすことは絶対にありえないのだから。

 ―しかし今は、以前より嫌いだとは思わなかった。
 自分を受け入れてくれた【彼】が守るものだと思うと、不思議とこの景色も悪くないと思えたからだ。

 ガコン――

 規則的に、機械的に、一寸の狂いもなく回り続けるこの世界が――


 僕は少しだけ、愛しいと思えるようになった。



 ――ガコン。



 ********


 【了】

© 2017- izumi soya

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